晩秋行
大沢在昌
双葉社
作品紹介、あらすじ
自分が見つけたいのは君香だ。カリフォルニア・スパイダーなどどうでもいい。居酒屋店主の円堂のもとに、バブル時代、不動産売買で荒稼ぎをした盟友の中村から電話が入る。当時、「地上げの神様」と呼ばれ、バブル崩壊後、姿を消した二見興産の会長の愛車で、20億円の価値があるクラシックカーの目撃情報が入ったという。二見は失踪時、愛車とともに円堂が結婚を考えていた君香という女性を連れ去っていた。20億円の車をめぐってバブルの亡霊たちが蠢き出すなか、円堂はかつての恋人を捜し、真実を知るために動き出すー。
感想やレビュー
『北の狩人』読破以来の大沢在昌作品。 居酒屋『いろいろ』の店主円堂が、30年前に20億円のクラシックカーと共に消えた惚れた女を探す…バブル期に共に地上げで稼いだ中村から、地上げの神様として知れた二見社長の愛車の目撃情報。二見は当時円堂と恋仲だった君香を連れて失踪していた。円堂は捜索開始。中村は焼殺される。君香の姪と知り合うも、二見の車を狙うヤクザが襲来。円堂が信用していた付き合いの長いマザーのママがヤクザ側への情報リークが発覚。二見も車も見つかり君香にも再会。車は君香の姉へ譲渡、病の君香を憂うシーンで終。 30年もの間同じ女性を愛し再会…その後の話も読みたかったがそこは読者の想像…渋い円堂は『哀川翔』を浮かべながら読了。