姥玉みっつ
西條 奈加
潮出版社
作品紹介、あらすじ
名主の書役として暮らすお麓の閑居へ、能天気なお菅と、派手好きなお修が転がり込んできた。ふたりとも、いわば幼馴染である。お麓は歌を詠みながら安穏の余生を送ろうとしていたのだがー。ある日、お菅が空地で倒れた女と声が出せない少女を見つけてきた。厄介事である。お麓にとって悪夢のような日々が始まった。直木賞作家が描く痛快時代小説。
感想やレビュー
パワフルな婆様三人が眩しい時代小説。 コメディ風味だが、底抜けに明るいわけではない。それぞれにしがらみや屈託を抱えながら、死ぬまで自分自身を養っていかなくてはならない三婆さまにはどこか哀感が漂う。 平均寿命が長くなった現代ではお馴染みのテーマだが、江戸時代も案外そんなものなのかもしれない。 物語の展開もコンパクトで無駄がなく、最後も工夫があって良かった。