Bookstand
Bookstand
さよなら、ニルヴァーナ

さよなら、ニルヴァーナ

窪 美澄

文藝春秋

Amazonで詳細を見る

作品紹介、あらすじ

あの子は、 どこから戻れなくなったんだろう── 東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。 そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。 一方、神戸生まれで、東京に住む十七歳の莢(さや)も、少年Aを崇拝し、「聖地巡礼」と称して事件現場などを訪れていた。 また少年Aに当時七歳の娘を殺された母親は、息子、夫とともに同じ場所にとどまり、一見平穏そうに見える暮らしを送っていたが、教会の人間から、Aのファンの話を聞かされる。 少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家……それぞれの人生が交錯したとき、彼らは何を思い、何を見つけるのか。 著者渾身の長編小説! 作家が書くことに固執するのは、「人間の中身を見たい」からなのだ。これは、小説ノンフィクションのジャンルにかかわらず、作家が持つ病理なのだ。その意味で、私もAの同志なのである──佐藤優氏・解説より

感想やレビュー

7歳の少女を殺害した、14歳の少年。事件から時が経った今、ある町に彼が住んでいるという噂が広まった。 加害者、売れない作家、彼をアイドルのように崇拝する少女、その少女に殺された娘を重ねる母親… それぞれの立場が、一つの場所で重なり合う。 何というか、狂気的な作品で、自分には理解し難い気持ちだなと思った。 そもそも殺人者を「ハルノブ様」と崇める気持ちがよくわからない。それでもって、家庭環境も、みんなそれぞれに複雑で、考えさせられる部分もあったけれど、やはり暗すぎて、理解することのできない作品だった。 最後に、晴信改め倫太郎と莢を殺したのは、光の母だろうか。今日子は、どの段階でどんなふうに関わっていたのだろうか。もう一度読めば分かるかもしれないが、再読したくなるような魅力はないな、と思う

App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう