マンゴーのいた場所
ウェンディ・マス/金原瑞人
金の星社
作品紹介、あらすじ
マンゴーはあたしのネコ。マンゴーって名前は、みんな、目がオレンジ色だからだと思っているけど、そうじゃない。ごろごろとのどを鳴らす音、ミャーォという鳴き声、それに、マンゴーのいた場所や、歩いたあとなんかが季節ごとに色がちがうマンゴーの色そっくりだったからー。共感覚とは、音をきくと色が見えるというように、五感のうちの二つ以上の感覚が同時に働いて起こる知覚現象のこと。共感覚を持った少女と、猫のマンゴーが過ごしたはかなくも、色鮮やかな12ヶ月。「共感覚」「ペットロス」をテーマにした感動の一冊。
感想やレビュー
主人公のミアは共感覚という知覚現象をもつ女の子。そしてマンゴーは主人公ミアの飼い猫だ。 共感覚というのは実際にある知覚現象らしく、数字を見ると色がうかんだり、音を聞くと彩りが見えるのだという。 なんて素敵な感覚!と思うが、当の本人にとっては悩みのタネらしく、頭が変だと思われるのでは、、、と誰にも相談できずにいた。 算数の赤点を機に、なんとか両親に打ち明け、自分と同じ共感覚を持つ人達と出会い、その特殊な知覚を共有できたことで自分の自信を取り戻すミアだが、、、 彼女が大切な存在を亡くし悲しみのどん底にいる時、その気持ちを一番理解してくれたのは同じ共感覚の持ち主ではなく、色覚障害のロジャーだった。 共鳴しあえる仲間を得るというのはなかなか難しい。共感覚者同士だからといって、全てを分かりあえるわけではない。また分かりあえる相手は時と場合によっても変わるものだ。 家族、友人、そしてマンゴーを大切に思うミアという女の子の、とても可愛らしい物語だった。