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心臓を貫かれて 下

心臓を貫かれて 下

マイケル・ギルモア/村上 春樹

文藝春秋

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作品紹介、あらすじ

76年夏、運命の日が訪れた。殺人。判決は死刑。兄は銃殺刑を求めた。その恐怖の世界を抜け出すための手だては、たったひとつしか残されていなかったのだ。刑執行を数日後にひかえた兄との対決、母の死、長兄の失踪…そして最後の秘密が暴かれる。家族のゴーストと向きあいつつ、「クロニクル」は救済と新たな絆を求めて完結する。

感想やレビュー

かなりすごい体験をした。という読後感 読者はこの一族を見届けるゴースト的な立場でいたのかもしれない。それも著者の世代だけでなく、もっと昔から 日本人の自分から読むと家族の中でもそれぞれの個が尊重され、悪い事をしたとしても家族の愛があったりすることに違和感を感じてしまって、日本はかなり極端な考えが普通になっていて自分もその中で疑問を持っていないと思った。日本は死刑があって、死刑囚の家族がマスコミ、週刊誌に晒されることがあるけれど、悪いことをした家族に対して愛を持つことなんてないと言う感じ、またそんな悪人を出した家に問題があり、家族全員幸せに暮らすことは許されないという空気感がある。だから著者が(絶対に葛藤はあったにせよ)兄を別の人間としてドライに分析していて、他国の話だなと感じた。もし日本人が書いたら自分の責任や後悔、自己批判を言い訳としてはさみながらじゃないとかけないんじゃないかな。 アメリカにはたくさんのゲイリーかいる。同じように問題を抱えた人がたくさんいるって言ってるのもすごい。その通りなんだと思う。これももし日本だったら、この人がやった理由を他の人には芽生えようがない事だったという感じにしちゃって、たから同じことがおこることはない。終了〜 ってやってしまう。 たくさんのゲイリーがいるからこそ、こうやって切り開いてオープンにすることがとても変わっていく力になるのだろうな。 そして読者も追体験し、傷を受けることで変わるんだろう。

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