関東大震災新装版
吉村昭
文藝春秋
作品紹介、あらすじ
大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曽有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していくー。二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作。
感想やレビュー
関東大震災の生々しい記録が綴られた衝撃の一冊。著者の情報収集力と丹念な描写力は圧巻。 火災旋風による本所被服廠跡の地獄絵図も恐ろしいが、 流言による朝鮮人虐殺、混乱に乗じた軍部の暴走等の惨劇をみるにつけ、極限状態で心が崩壊した人間が何より一番怖いと痛感。