世界は「」で沈んでいく
櫻 いいよ
PHP研究所
作品紹介、あらすじ
友だちがいないのは、そんなにだめなことなの? ひとりはそんなに、おかしいの? 【あらすじ】 好んでひとりで過ごしていたのに「いじめられている」と誤解され、都会から海辺の町に引っ越すことになってしまった、中学1年生の凛子。家族を心配させまいと、今度こそ「友だち」を作ろうと努力するが……。 「友だちは本当に必要か?」悩みもがきながらも、自分なりの答えを探していくーー。胸が締めつけられる青春小説。 【目次】 1:世界は「ひと」でつながっている/2:世界は「ひとり」を許さない/3:世界は「えがお」で傷つけられる/4:世界は「わたし」が閉ざしている/5:世界は「あした」も続いていく ■イラスト:げみ
感想やレビュー
クラスメイトと良好な関係を築くことができず、引っ越すことになった凛子。 引っ越した土地で最初に話しかけてきたのは町の変わり者、和久井だった。 印象に残ったフレーズはなし。 自分も、人と関わることは苦手で、できればしたくないから、凛子の気持ちに共感した。 親や先生からは、「友達がいらない」という考え方が理解してもらえず、「何かあったのではないか」と過剰に心配される苦しさや鬱陶しさは痛いほど理解できた。同時に、「この考え方、おかしいよな」とも思った。 本の中で凛子が救われた、和久井の「自分は自分、人は人」と割り切って、誰の意見も否定しない考え方には、私自身も救われた。 そんな明るい和久井にも、誰にも言っていない苦しみや我慢があって、人の心の中は絶対にわからないものなのだな、と学びになった。 本音を話せる相手を見つけることも大切だが、それ以上に、人の気持ちは決めつけてはいけないのだと思う。
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