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ドグラ・マグラ(上)

ドグラ・マグラ(上)

夢野 久作

KADOKAWA

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感想やレビュー

夢野久作「ドグラマグラ」読了。 というより、再読了かな。言わずと知れた日本三代奇書のひとつ。20代の頃に読んで大好きになった本。 巻頭歌「胎児よ胎児よなぜ踊る 母親の心がわかって おそろしいのか」という不穏な感じで始まるこの物語。 この上巻はアンポンタン・ポカン博士と正木敬之先生の論文のような形をとった「脳髄はものを考えるところにあらず」「狂人の解放的治療場」「心理学的遺伝」「胎児の夢」という内容が半分以上を占めている。そしてその全ての論旨が立て板に水のように流れて記憶を無くした主人公同様あれよあれよという内に終わってしまう。 のだが、いやいやどうして。 この立て板に水のように流れる論文たちが一癖も二癖もある癖に妙に魅力的で納得させられてしまうのだよ。人間とは脳で考えてるように見えて実は人体を形成しているすべての細胞で考えており、脳はただの電話交換手なのであるとか、胎児は母のお腹の中にいる10ヶ月のうちに地球に生命が誕生した時から人間になるまでの夢を見ているとか、嘘みたいだが否定できない内容なのである。 そんなお話が初版が昭和51年。西暦では1976年。45年前に書かれているという驚き。いやはや未だに圧倒される。 そしてこのアイデアにも増して全体的にこの小説の面白さを引き上げてるのが、文体のリズム。スラスラと身体に入ってくる。人によってはこのリズムが合わない人もいると思うが、この夢野久作が作る文体のリズムが自分にとってとても心地よいリズムなのである。 さあ果たしてこれらの内容が一体主人公とどう関わりあるのか。いざ下巻へ(といってももう全部内容知ってるんだけどね)

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