よだかの片想い
島本理生
集英社
作品紹介、あらすじ
顔に目立つ大きなアザがある大学院生のアイコ、二十四歳。恋や遊びからは距離を置いて生きていたが、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、表紙になってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と出会ったアイコは彼に恋をする。だが女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがわからず、暴走したり、妄想したり…。一途な彼女の初恋の行方は!?
感想やレビュー
島本理生さんらしい、のらりくらりとした恋愛感の頼りない年上男性との恋愛を描いた。アイコは初恋である飛坂との片側一方通行な恋愛を経て、生まれつきの顔のアザへのコンプレックスや周囲の人間へ抱く心持ちを一新し、また飛坂との失恋さえもを超える強さを手に入れたように思う。アイコの成長が希望的すぎて、恋愛よりも人間的な感情が強く印象に残る。確かにアイコが失恋をしたはずだが、悲恋ではないところが賛否の分かれるところではないだろうか。