青春を山に賭けて
植村 直己
文藝春秋
作品紹介、あらすじ
家の手伝いからは逃げ、学校ではイタズラばかりしていた少年は、大学へ進んで、美しい山々と出会った。-大学時代、ドングリとあだ名されていた著者は、百ドルだけを手に日本を脱出し、さまざまな苦難のすえ、夢の五大陸最高峰登頂を達成する。アマゾンのイカダ下りもふくむ、そのケタはずれな世界放浪記。
感想やレビュー
著者:植村直己 2008年新装版 主に五大陸最高峰に登るまでの軌跡について書かれており、これまで何度も読み返した私のバイブル(愛読書)。 大学で山岳部に入り、山に明け暮れた植村青年は、ガストン・レビュファ「星と嵐」を読んでアルプスに強い憧れを抱くようになる。 ヨーロッパ山行のため生活水準の高いアメリカでアルバイトしようと、英語もできないのに110ドルだけ持って移民船でアメリカへ向かう。 カリフォルニアの農場で労働許可証も持たずにメキシコからの不法入国者とともに3ヵ月程1日も休まずに働き、お金も溜まってきたころ移民局に見つかり、鉄格子の牢に入れられ日本へ強制送還されそうになるが、旅の目的を必死に伝えて、ヨーロッパ入りを果たす。 無知のまま、秋のモン・ブランの単独登攀に挑み、ヒドン・クレバスに落下。気を失ったが幸運にもクレバスの途中で引っかかって一命をとりとめる。 と前半からとてつもない冒険が赤裸々に書かれており、植村氏の情熱と純粋さがひしひしと伝わってくる。 その後も世界各地の山やアマゾンイカダ下り、そして冬期グランド・ジョラス北壁までの記録がテンポ良く書かれており、植村氏のとてつもないエネルギーには関心させられる。 著者あとがきにて 『私は五大陸の最高峰に登ったけれど、高い山に登ったからすごいとか、厳しい岩壁を登攀したからえらい、という考え方にはなれない。山登りを優劣でみてはいけないと思う。要は、どんな小さなハイキング的な山であっても、登る人自身が登り終えた後も深く心に残る登山がほんとうだと思う。』 心に残る登山か、、、ほとんど無いかも(-_-;)
尊敬する人。自分の好きを突き詰めて挑戦していく心、冒険する心を忘れたくない。