思考の整理学
外山 滋比古
筑摩書房
作品紹介、あらすじ
アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。
感想やレビュー
今からもう40年も前に、これからの時代に必要な力について、伝えておられた外山滋比古先生は、さすがである。「先生と教科書に引っ張ってもらうグライダー型ではなく、エンジンを積んで自分の頭で考え、自力で飛び回れる飛行機型の人間こそ、これからの時代には必要」と書かれているが、なかなかそれがこれまでの学校教育では育てられてこなかったのだ。自分も完全にグライダー型だ。飛行機型に憧れる気持ちはあるけれど。思考には忘れることが大切、寝させることが大切という話はその通りと感じ、面白い。
思考の整理学とは何か。この本にはその明確な答えは書かれていない。 あくまで筆者は思考の整理学を示すヒントでありハウツウ本ではないと最後に述べている。 以下では、タイトルの文字を分け①思考②整理③学ぶの観点を考察し、最後に感想を述べたい。 ① 思考 思考とは物事を考る事である。それには前提として、知識を取り入れていかなければならない。人は学校などで様々な事を学び知識を得る。ただ、知識を得ることに満足してはいけない。大切な事は学んだ事をどう活かすかである。学校では、知識を問うテストで点数が高い人が評価されるが、社会では学んだ事、経験した事を組み合わせて自分なりに仮説をたて、それを実行し、答えを出せる人の方が評価される。 しかし、現在の情報過多な社会において人々は多くの事を学び経験する上で、 膨大な量の情報を整理する事は容易ではない。 ② 整理 多くの情報が得られる今日、それを全て覚える事は難しい。筆者は整理に必要な要素として次のような事を述べている。(1)あたため寝かせる事の重要性。(2)忘れる事の重要性。(3)捨てる事の重要性。(4)書く事の重要性。(5)話す事の重要性。 毎日、様々な事をインプットしても、情報を保存できる脳のスペースは限られている。 新しく取り入れれば、古く必要のない情報は忘れる事や、捨てる事も重要になってくる。 特にこの2点は睡眠中に実行されるらしく、脳の中にある情報を整理する上で睡眠 は必要不可欠なものとなるらしい。よって、睡眠の質を向上させれば、それだけ整理 する質もあがる事になる。 ③ 学ぶ 知識を得るには学ぶ事は重要である。ただ、本を読んだり学校に通うことばかりが 学ぶ事ではないと筆者は述べている。本には書いておらず、生活の中で身につけ学ぶ 事もあるらしい。例えば、包丁にさびがないようにするためにはお湯で少しつけた後に 布巾でふくとさびにくいらしい。これは生活の知恵である。このような本に書いて いない新しい発見をするには好奇心が必要であり、失敗しても良いから実行し、そこから学ぶ事も重要なのではないか。 感想 私自身、今の会社に入社し、毎日覚える事がたくさんあり、気持ちばかり焦る事が 多い。今回、思考の整理学を読んでいくうちに急いで覚えてはいけない事や、覚えても 一度忘れる事の重要性、人と話しているうちに考えがまとまってくる事や、思い切って 覚えた事を捨てる事の重要性など、今の自分に必要な要素を学ばせて頂いた。 この本から今後仕事を覚えていく上で色々なヒントを得たのでそれは活かしていきたいと思う。 最後にこの本に出会えた事に感謝したい。
学校の学びは知識のみで考えることを教えていない。コンピューターに仕事を盗られる一方である。 考えて行き詰まったときは時間を置くと良い考えが浮かぶことがある。寝かせる。 良い考えはメモに記録して、数日放置する。 その後、太るような事が無ければ破棄、太るならノートに写して保存する(参照したメモの場所も記載) 一つの分野だけを考え続けても良いアイデアは思いつきにくい、他の分野の知識も取り入れると良い。 セレンディピティもあり得る。 朝飯前が思考に一番適している。 とにかく思考するときは書いたり、出来上がった文章を音読してみる。そうすれば再考が必要な場所がわかり、無意味に焦る必要がなくなるから良いものが生まれやすい。 個人的にはノートや手帖を使うよりつんどく法で共通項を探し、重複するような重要部分を記憶したほうが良さそう。 忘れることを必要以上に恐れることはない。それは必要のない情報。 忘れることがあるからこそ頭を効率良く使える 褒めることは大事。 アイデアは自分で純化するまで放置
東大生・京大生の多くが読んでいると評判の本。印象に残ったのは夜に悩まずに、少し時間を置くということ。またセレンディピティといって行きがけでたまたま別のいいものが見つかることもある。例えば本に出てきたように戦艦の開発をしようとしたら、イルカのエコーロケーションが見つかったりするので、大切にしたい。 次に思考の整理について。これはズバリ、忘れること、ということ。ただ忘れるということではなく、メモをして置いておくということをするといいと言うのは実践したい。 文章について。声に出してみると思考の整理ができる。書いて見たら見直す為に声に出すのは大切。 それとグループについて。まったく別分野の人と意見を肯定してくれる両方のグループを持つとよいとのこと。これに関しては自分ができているところだと思うので、今後も大切にしていきたい。 最後にことわざを活かすこと。