緋い猫
浦賀 和宏
祥伝社
作品紹介、あらすじ
十七歳の洋子は佐久間という工員の青年と恋に落ちる。だが仲間二名が殺害される事件が起き、犯人と疑われた彼は姿を消す。洋子は佐久間を追って故郷である東北の寒村を訪ねると、かつて東京で彼が飼っていた三毛猫を見つける。村人らは佐久間はいないと口を閉ざし、洋子を監視しはじめた。恋人との再会を信じる洋子を待っていたのは、あまりにも残酷な衝撃の結末だった。
感想やレビュー
すらすらと読めました。非常に読みやすい文章に毎回感心です。 さて、物語は終戦直後の日本だからこそ起こりうること、なのでしょうか。主人公の境遇の変化が目まぐるしく、ただひたすら運命の激流に身をゆだね、最後に行きついたところ、気が付けばこんな展開にまでなってしまったんだな、と。確かに結末は衝撃的です。凝ったあらすじとか、どんでん返しとかいうよりも、主人公がとても行動的な女性で、とにかくどんどん話が前に進むので、読んでいても楽しかったです。 久々の一気読みでした。