ニックネームが設定されていませんさんの感想、レビュー
ヘレンケラーの話を日本に置き換えた小説。確かに三重苦の主人公「れん」と去場安との激しい葛藤にはとても厳しいものがある。物には名前があり、意味がある、と言うことを理解するまでの苦悩が詳しく書いてあり、それは臨場感のある展開だった。 しかし、れんの少女時代に出会った唯一の友達「キワ」とわずか3ヶ月足らず別れざるをえなくなってからの展開は書き急いでいる感じがした。 キワが津軽三味線の人間国宝に認定され、何十年振りかにれんと再開した時の描写には感激できるものはあまりなかった。 二人が別れてからの繋がりがとても弱い感じがする。 少し残念だった。 しかし、日本には盲目の方の生きる道があり、受け入れる社会であったことに今更ながら気付いた。 差別はあったものの、昔から多様性のある人を生かす道を持っていた国であったことにこの国の懐の深さを感じた。