クラシックを読む1 愛・狂気・エロス
百田 尚樹
祥伝社
作品紹介、あらすじ
クラシック音楽にはドラマがある。曲の背後には作曲者の人生があり、その苦悩や喜びが詰め込まれているからだ。ブラームスがある女性に捧げた「弦楽六重奏曲第一番」、なぜか不倫をテーマにした映画に使われるラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」、一人で聴いていると異世界に吸い込まれそうになるラヴェルの「夜のガスパール」など、知られざる逸話と共に二四曲を紹介する。二万枚を超えるCDに囲まれ、ほぼ毎日聴いている作家・百田尚樹によるクラシック音楽エッセイ、第1巻。まずは気になった曲から、どうぞ。
感想やレビュー
彼の書いた曲のすべてがピアノを含む曲で、しかもそのほとんどがピアノ独奏曲です。その意味では19世紀に登場したクラシック音楽の作曲家の中で異質なタイプです。 当時、作曲家としてもっとも評価される交響曲やオペラには見向きもしなかったからです。ショパンが生涯にわたって愛したのはピアノです。彼はじたくや小さなサロンなどで少人数相手に演奏するのを好みました。ポロネーズ第6番英雄や12の練習曲のいくつかの曲は別にして、演奏効果を狙った派手な曲よりも内省的な曲のほうが多い。