Bookstand
Bookstand
ぶらんこ乗り

ぶらんこ乗り

いしい しんじ

新潮社

Amazonで詳細を見る

作品紹介、あらすじ

ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。-天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて…。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。

感想やレビュー

独特のストーリー展開に、なぜか引き込まれてしまうものがある。 舞台女優で売れない画家と結婚した祖母。画家は有名になったが若くで他界。娘は額縁職人と一緒になり画家の道を進むが、夫婦とも飛行機事故であっけなく亡くなる。 残された孫達に、厳しくも本質を突いた言葉で彼女なりに励ます。 サーカスの空中ブランコに夢中になった弟。人生は、あちらの世界とこちらの世界を行ったり来たりするブランコのよう。喋れなくなった自分とクラスメイト、亡くなった両親と私達姉弟。 行方不明になった私と弟。それもまたブランコのよう。 そしていつか必ず弟は、戻ってくる、 向こうに行ったブランコが、必ずこちらに帰ってくるように。 この話の中では、祖母の人生を達観した厳しい言葉が姉弟を成長させる。 祖母が意外と重要な役割を果たしていると思う。私もまた人生の中、一日の中で、小さなことを決断し、あちらとこちらのブランコを押しているようなものだと思う。 人生で人に出会うことも空中ブランコのよう。一瞬、手を繋げるだけで幸せと言える。そして押したブランコは、必ずこちらに戻ってくる。 著者いしいしんじの大ウソつきの世界に少しハマってしまった。

App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう