おもいでがまっている
清志 まれ
文藝春秋
作品紹介、あらすじ
今は古びた平成初期の新興マンション。その一室に、ひとりの年老いた男が、孫とともに住んでいた。男が訥々と語る、心温まる、この部屋の思い出。孫はここで、ずっと母を待っている。この部屋に残された母の愛に囲まれて。しかし、男が語る思い出はすべて“嘘”だった。かつてこの男は、とある幼い兄妹から、この部屋を奪った。男には、そうしなければならない、痛切な理由があったー。風吹く部屋で、ずっと誰かを待ち続けた、ある家族と男の物語。水野良樹(いきものがかり)が筆名で描く、渾身の書き下ろし小説。
感想やレビュー
良い言葉の連なりだった。 著者が参加しているグループの音楽に興味を引かれたことは無かったけれど、物語の中に時折現れるリフレインやいくつもの旋律の重なりは大変調和が取れていて、音楽も言葉も同じなのだなと思わされた。 私には彼らの音より彼の言葉の方が理解しやすかったという事なんだろう。まあ相性あるからね… もっとこの方の文を読みたい。