これが本当の「忠臣蔵」
山本 博文
小学館
作品紹介、あらすじ
歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』により、日本人の心性に深く根を下ろす「赤穂浪士討ち入り事件」。しかし、物語ではない、史実としての詳細は、意外に知られていない。二〇一一年末に著者自身が鑑定した新発見史料「茅野和助遺書」をはじめ、残された調書や手紙・日記などを徹底的につきあわせていくことで浮かびあがる、事件の真相。赤穂事件をわかりやすく、正確に解き明かす!「江戸を学ぶ、江戸に学ぶ」江戸検新書、第三弾。
感想やレビュー
つい最近山本博文さんが亡くなっていた事を知った。ショックだった。専門が近世史なので著書を読む機会が多い先生だった。わかりやすい文章で江戸を解説する本が多かっただけに残念でならない。本書もその1冊。有名な赤穂浪士をフィクションから離れた実態として捉え直す物。それと赤穂事件に関してその善悪の判断が大きく別れる所だが、元禄時代迄の当時の武士の心理に沿って、解説を試みていて余計に好感が持てた。江戸時代の武士と現代に生きる私達では倫理観から何から全く違う訳だから、彼らの行動を愚挙だとこき下ろすのは絶対に違うと思った。それと吉良の養子の左兵衛が1番の被害者ではとも書いていて、そこにも好感が持てる。