この部屋から東京タワーは永遠に見えない
麻布競馬場
集英社
作品紹介、あらすじ
東京に来なかったほうが幸せだった? Twitterで凄まじい反響を呼んだ、虚無と諦念のショートストーリー集。 「3年4組のみんな、高校卒業おめでとう。最後に先生から話をします。大型チェーン店と閉塞感のほかに何もない国道沿いのこの街を捨てて東京に出て、早稲田大学の教育学部からメーカーに入って、僻地の工場勤務でうつになって、かつて唾を吐きかけたこの街に逃げるように戻ってきた先生の、あまりに惨めな人生の話をします。」(「3年4組のみんなへ」より) 「『30までお互い独身だったら結婚しよw』。三田のさくら水産での何てことのない飲み会で彼が言ったその言葉は、勢いで入れたタトゥーみたいに、恥ずかしいことに今でも私の心にへばりついています。今日は、彼と、彼の奥さんと、二人の3歳の娘の新居である流山おおたかの森に向かっています。」(「30まで独身だったら結婚しよ」より) 「私、カッパ見たことあるんですよ。それも二回。本当ですよ。桃を持って橋を渡ると出るんです。地元で一回、あと麻布十番で。本当ですよ。川面から、顔をニュッと目のところまで突き出して、その目で、東京にしがみつくために嘘をつき、人を騙す私を、何も言わず、でも責めるようにじっと見るんですよ。」(「カッパを見たことがあるんです」より) 14万イイネに達したツイートの改題「3年4組のみんなへ」をはじめ、書き下ろしを含む22の「Twitter文学」を収録。 【推薦コメント】 面白すぎて嫉妬した。俺には絶対に書けない。 ーー新庄耕さん(小説家。Netflixシリーズ「地面師たち」原作者) 【著者略歴】 麻布競馬場 (あざぶけいばじょう) 1991年生まれ。慶應義塾大学卒。2021年からTwitter に投稿していた小説が「タワマン文学」として話題になる。22年、ショートストーリー集『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』でデビュー。
感想やレビュー
著者の文章を初めて読んだのは、『おいしいアンソロジー 喫茶店(大和書房)』に収録されていたとき そしてこの度、デビュー作を手に取ってみました! 22の短編で構成されていて、どんどん読みたくなる一方で、なかなかの読後感(笑) 麻布競馬場の作品の魅力が伝わってくる新庄耕さんの解説も良かったです(^o^)/ 私のお気に入りは、 *3年4組のみんなへ *うつくしい家 *東京クソ街図鑑