ドグラ・マグラ(下)
夢野 久作
KADOKAWA
感想やレビュー
夢野久作「ドグラマグラ 下巻」読了。 上巻では若林先生のターンだったのが、今回は正木先生のターン。正木先生が映画仕立てで説明する若林先生の資料。この資料が続くところで心折れた人も多いことだろう。特に警察の調書のような調査記録と如月寺縁起のあたり。どうしてこういう文書って小難しい言葉で並べたてるんだろうね。ワザと読みにくくしてるような気がする。とはいえ、やはり夢野久作の文章の多様さには驚く。こういう文体も、論文の形も、はてはお寺の縁起まで作り上げてしまう。すごいなあ。 この若林博士と正木博士のそれぞれの研究資料をじっくりととくとくと丸め込まれるように叩き込まれながら二人の戦いに巻き込まれていく主人公。果たして俺は呉一郎なのか違うのか。そりゃ狂っちまうよ。ああー、チャカポコチャカポコ。 あと呉一族が読むと気が狂ってしまうという巻物、もともとのネタあったよなと調べたら、九相図絵巻だね。ははあ、小野小町だったんだ。ドグラマグラの中では6つにしたのはなにか意味があるのだろうか。うーむ。研究の余地あり。 そして2回目読み終わって気づいた。時計の音は12回鳴ってるのね...ブゥーーーーーーン...