らいかさんの感想、レビュー
らいか
タイトルで惹かれて買った本。清水朔さんは初めての作家さん。文体としてはずっと入ってくる文体ではなかったけど、面白かった。2作目に期待。
清水 朔
新潮社
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京極夏彦「塗仏の宴 宴の支度」再読了。 絡新婦の厚さで懲りたのか、この百鬼夜行シリーズは「宴の支度」と「宴の始末」のシリーズ初の分冊。持ち歩くこともギリ可能になったので読み終わるのも少しだけ早かった。 内容は正直かなり忘れていた。うっすらした記憶ではシャーロックホームズでいうモリアーティみたいな奴が出てきたよなぁぐらい。そして当時は、そのイメージのせいでこれまでのシリーズの中でイマイチな印象だった本作。 ...のはずだったのだが、約20年ぶりぐらいに読み直して見ると、いやこれちゃんと面白いじゃないか。うん。 この宴の支度は、支度というだけあって6編の短編集の形。そしてそれぞれ妖怪の名前のタイトルと共に主人公が変わる。 「ぬっぺっぽう」関口 「うわん」朱美 「ひょうすべ」京極堂(関口) 「わいら」敦子 「しょうけら」木場修 「おとろし」織作茜 これがどれもいい。特にいいのが「おとろし」。織作茜がとてもいい。老獪なジジイとの駆け引きも、多田羅との会話も、津田の仮面を剥ぎ取るところも、いい!いいぞ!織作茜!!っとなってきたところへの....ああ!!そう、そうだった...関口...お前はぁ.. ということ興が乗ってまいりました! さて宴を始末しに参りましょうかね。
京極夏彦
京極夏彦「絡新婦の理」再読了。 最新作「鵼の碑」を読むための読み直し。やっと5作目。長かった..とんでもなく厚いので家でしか読まなかったのが敗因。なのでここ最近は修行僧のつもりで持ち歩いた。そのおかげでついに勝ったぞ。 発行年をみて驚いた。1996年だと。ほぼ30年前じゃないか。いやはやすごい。そしてこの絡新婦の理は今の時代にこそ読むべき小説なのかもしれない。ジェンダーフリーやダイバーシティなど今さら何をいわんや。もともと日本に古来よりあったものの焼き直しではないか。そんな思想は古来より知ってたよ日本人は。となる。 本巻にでてくる呉美由紀は、その後のサイドストーリー今昔百鬼拾遺にも登場するキャラクターで結構好きなキャラクター。特に中盤以降の覚醒してからの呉美由紀がたまらん。ただ覚醒したばかりだからわかっているのだが、どう動いていいのかわからない感じも好きだ。 美由紀の覚醒に拍車をかけるのが待ってました京極堂。憑き物落としの始まり。このシリーズの最大の見せ場。うんうん、たまらないねえ。特に今回の中でもいいのが、織作葵を落とすシーン。頭のいいもの通しの駆け引き。最後まで落とさない京極堂の優しさ。でも....。くぅ...。 さてさて、鵼の碑までもうひといき。次は塗仏の宴だ。これは2部作に分かれてるので持ち歩くのが少し楽だね。
夢野久作「空を飛ぶパラソル」読了。 表題含む8つの短編。 「空を飛ぶパラソル」「いなか、の、じけん」「復讐」「ココナットの実」「怪夢」「キチガイ地獄」「老巡査」「白菊」。 久しぶりの夢野久作。やはり夢野久作の文体が好きだ。なんかリズムがいいんだよね。声に出して読みたくなる。 この短編集は夢野久作の経歴の中で、新聞記者であった経験をもとにして書かれたものを集めてる気がする。そればっかりでもないかもしれないが。うん、面白かった。
夢野 久作
劉慈欣(リウ・ツーシン)「円」読了。 13編の短編集。 これNetflixにあるブラックミラーみたいにSF短編ドラマとして映像化してもらえないだろうか。全部良い。全部良いぞ。三体でこの作家さんを知ることができてよかった。感想を少しずつ。 「鯨歌」 くじらはうたう。かなしみの歌を。 「地火」 犠牲無くして進化なし。考えさせられる。 「郷村教師」 田舎と超高度な文明の落差がよき。 「繊維」 筒井康隆を感じる短編。なんか懐かしい。 「メッセンジャー」 好き。アインシュタイン。 「カオスの蝶」 バタフライエフェクトこれ映画になるんではないかのレベル。 「詩雲」 神が人を真似て詩を作る。そして思いつく。全ての文字の組み合わせを作れば李白の作った詩を超えたものもその中に含まれる。ただ、感動は検索できない。深い。 「栄光と夢」 かなしい 「円円のシャボン玉」 唯一のハートウォーミング 「二〇一八年四月一日」 SF的エイプリルフール 「月の光」 ゆめかうつつか。 「人生」 胎児よ胎児よなぜおどる 「円」 人間コンピュータ ああ、もっと、もっとこの人の作る物語を読ませてくれ。
劉 慈欣/大森 望