終わりなき夜の果て(下)
和泉桂
幻冬舎コミックス
作品紹介、あらすじ
清澗寺伯爵家の長男の国貴は、軍を裏切りながらも密かに生き延び、一族を捨てて恋人の遼一郎と上海で逃亡生活を送っていた。国貴は素性を偽り、つましくも幸福な日々を送っていたが、遼一郎がまたも秘密を抱えていることに気づく。不安が増す中、国貴は弟の道貴に見つかってしまい…。雑誌掲載作に加え、道貴のクラウディオと甘くも激動の日々を描いた書き下ろし作品、初代伯爵・貴久の掌編を収録した、清澗寺家シリーズ第一部完結編・下巻。
感想やレビュー
#終わりなき夜の果て 上下 2010年発行 はぁ〜お腹いっぱいです。満足。とても面白かった。ディープな情事に、大正時代のノスタルジーとノワールがブレンドした没落しつつある華族・清澗寺一族の物語。第一部完結。 初代伯爵・祖父の貴久、父の冬貴、そして3人の息子、国貴、和貴、道貴たちの続編です。読後感は爽やかでした。 やはりキャラの中では次男の和貴に惹かれました。忌まわしい清澗寺の血を引く自身を恥じ、身の置きどころを求めて苦悩する姿が、哀れで健気です。 普段は怜悧な美貌でツンとしていて、信頼する恋人やお兄様の前ではポロポロ涙を流し可愛いかった。長男国貴が家族を捨てたのに、兄を恨んだりしないどころか、残したものを大切に守る道を選ぶ子なのです。 国貴と再会し、絆を取り戻せた時は本当に嬉しかった😭 恋人の深沢は重い愛で和貴を全霊をかけて守り愛する。それこそ、和貴が可愛く泣く姿が見たくて、尿道玩具プレイとかしてしまうくらいに。その頃にはもうエロ玩具があったんですね。衝撃でした(笑) 親子の情が希薄だったぶん、兄妹仲は良く、敬愛していて嬉しかった。兄弟が遠い国へ行ってしまっても心は繋がっている。三男の道貴のストーリーはアメリカが舞台で楽しかった。10歳年上溺愛攻めも素敵。妹の鞠子は妊娠を仄めかしていたので、第二部では核となる存在なのでしょうね。 冬貴のエピソードでは、 人の情など理解しない魔性の人だと思ってい彼が、義康への愛と独占欲が芽生えていたのは、感慨深かったです。 前作の二人の17年の物語「罪の褥も濡れる夜」はダーティな顔と無垢な顔を持つ冬貴がちょっと苦手だったけれど、長い月日と共に成長を汲み取ることができて面白かったです。 次はいよいよ戦後、当主・和貴の息子達(妹の鞠子の子供を養子)の物語です。