さよなら、男社会
尹 雄大
亜紀書房
作品紹介、あらすじ
僕らはいい加減、都合のいい妄想から目を覚まさなければならない。圧倒的な非対称を生きる僕らは、どうしてその事実に気づけないのか。真に女性と、他者とつながるために、乗り越えねばならない「男性性」の正体とは何か。
感想やレビュー
感覚的だと言われる女性の話は、「時系列に置き直して理路整然と話すには膨大すぎて、端的にストーリーとして語ることができないくらいの感情と感覚がそこにある」ことを、まとまらない・落ちがない話とは「わかりやすい解釈を通じて語ることができない」ことを示唆する。 「弱いから愛されない」と弱さと愛されなさを結びつけたのは、「愛されない」と感じた事実に耐えられなかったから。だから弱く感じる自分を放逐したけれど、実際には弱さを無視することでしかなかった。 そもそも「弱いから愛されない」という解釈が偽りだった。自分が弱いと感じたことと、実際の自身のあり方は異なっていた。例えば内向的なことは、弱さではなく特質でしかなかった。 他者である女性の置かれている立場について考え、社会を変革したいなら、まず我々が対話しなければいけないのは弱いと切り捨てて、他者となった過去の自分自身である。「どうしたの?」、「大丈夫?」と。そしてそうやって切り離した自分と話す時、その言葉は客観的でも理論的でもない、ただ相手をいたわり知りたいと願う言葉である。