老人ホームで死ぬほどモテたい
上坂あゆ美
書肆侃侃房
感想やレビュー
上坂あゆみ「老人ホームで死ぬほどモテたい」読了。 SNSでたまたま流れてきた屁の投稿で初めて知り、気になったので調べてみると、なるほど短歌を書く人なのね。短歌とか高校の時にあの人がサラダが美味かった日のことぐらいしか知らなかったのだが、どれどれと試しに... と何首か読んでみると、 これがおいおいちょっと、いいじゃないの短歌。 この人の言葉、持っておきたい と、10代かと思うような恥ずかしい感情が生まれました。そんな訳で多分人生初めて、短歌の本を購入してしまった。 三十一文字(みそひともじ)という言葉も久しぶりに思い出したなあ。そうか、三十一文字の中ってこんなにいろんなこと詰め込めて表現できるんだ。面白いな、短歌。 短歌集なので本一冊の中の文字数は圧倒的に少ないはずなのに、なんか小説読むぐらいに時間かかってしまったのはひとつひとつの歌が濃厚すぎるのもあるのだろうか。 人の生きてきた過程を三十一文字の言葉で紡いでいく。なんだろうこの感じは。それこそ言葉にできないけど凄い。 一首目からこれだもの。 「ばあちゃんの骨のつまみ方燃やし方YouTuberに教えてもらう」 この一首目に呼応するのがこの本の最後の一首なのだろうと勝手に思っている。強いな、この人。全体読むと弱いんだけど、芯にあるのは強さだと思う。さあ気になる人は買いましょうね。はい。 ああでも、こういう才能を見ると凄いという感情と同時に悔しいという感情も芽生えるから不思議だ。ちきしょうめ。