遠い唇(1)
北村 薫
KADOKAWA
作品紹介、あらすじ
小さな謎は大切なことへの道しるべ。解いてみると一筋縄ではいかない人の心が照らし出される。学生時代に届いた想い出の葉書には、姉のように慕っていた先輩が遺した謎めいたアルファベットの羅列があった。数十年の時を経て読み解かれたとき、現れたものとはー。表題作のほか、宇宙人たちが日本の名著を読むユーモア作「解釈」、乱歩へのオマージュ「続・二銭銅貨」など、ミステリの名手が贈るバラエティに富んだ謎解き7篇。
感想やレビュー
北村薫「遠い唇」読了 7つの短編集 遠い唇 しりとり パトラッシュ 解釈 続・二銭銅貨 ゴースト ビスケット 今回はテーマが「謎解き」 北村薫さんが得意とする 日常に潜む謎。 特にパトラッシュなどは 普段生活しててありえるような謎だったりして 一瞬ぞくりとさせられる (女性視点でのお話だったけど) 続・二銭銅貨はご存じ江戸川乱歩の代表作 二銭銅貨の続編があったらというお話。 素晴らしい出来だった。 うん、一読の価値あり。 あと北村薫さんの作品は 読み終わると少しだけ切なくなる。 特にタイトルにもなっている遠い唇。 切なすぎる。 全部面白かったなあ。 ちなみに北村薫ファンならわかると思うけど、 ゴーストは八月の六日間の主人公の 心を描いた作品で、 ビスケットは冬のオペラの巫弓彦がでてきます。
バラエティに富んだ謎解き7編。 特に、暗号判明後にほろ甘い切なさを残した『遠い唇』、俳句に隠された思いに胸が熱くなった『しりとり』、突飛な発想やパロディにくっすり笑えた『解釈』が印象的。 各話趣異なるものの、それぞれの物語が醸し出す雰囲気が良く、装丁も好み。