ストーリーが世界を滅ぼす
ジョナサン・ゴットシャル/月谷 真紀
東洋経済新報社
作品紹介、あらすじ
文明を築くのに一役を買ったストーリーテリング(物語化)。その伝統あるストーリーテリングが、近い将来文明を破壊するかもしれない。ストーリーテリング・アニマル(物語を語る動物)である私たち人間の文明にとって、ストーリー(物語)は必要不可欠な道具であり、数え切れない書物がストーリーの長所を賛美する。ところが、ストーリーテリングにはもはや無視できない悪しき側面がある。主人公と主人公に対立する存在、善と悪という対立を描きがちなストーリー。短絡な合理的思考を促しがちなストーリー。社会が成功するか失敗するかは、そうしたストーリーの悪しき側面をどう扱うかにかかっている。虚偽情報を流すキャンペーン、トライバリズム、陰謀論、フェイクニュースなど、SNSのような新テクノロジーがストーリーを拡散させ、事実と作り話を区別することはほとんど不可能になった。人間にとって大切な財産であるストーリーが最大の脅威でもあるのはなぜなのか、いったい何ができるのかを、説得力をもって明らかにする。
感想やレビュー
物語が世界を壊しているということをトランプの事例とか使ってわかりやすく説明している。ただ訳がちょっと下手かなー。そして、わたしたちがハッピーエンドなどの物語よりも苦しいものを選ぶというのは確かに、と思った。新パノプティコンは監視社会ですねー。でも行動だけでなく心まで左右させようとしているというのはとてつもなく共感し、恐ろしく感じた。一方、自分の考えが正しいと、リベラルが正しいということは疑いのないことだと思ってたけど、それまでもストーリーなのだとしたら、たしかにそうだけど、どうすればいいんだと思った