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歴史教科書の歴史

歴史教科書の歴史

小山常実

草思社

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作品紹介、あらすじ

ついには外交問題にまで発展した歴史教科書論争。しかし、そもそも日本の学校で使用される歴史教科書の内容がどのように変化して現在にいたるのか、という点についてはなぜか注目されてこなかった。本書では、敗戦直後の昭和二十年代の教科書から、平成十二年度使用の教科書までの中学生用歴史教科書、および「新しい歴史教科書」を丹念に検討し、教科書が日本の近代をどのように叙述してきたのか、その変遷を追う。なぜ歴史研究の成果を無視してまでも、教科書は自国の歴史を否定しようとするのか。あくまでニュートラルに教科書の叙述を辿りながら、日本人の精神をむしばむ病根の正体を抉る画期的労作。

感想やレビュー

戦後の歴史教科書の特徴が理解できた。防衛観点の欠如、外国批判をしないこと、西欧の理念で日本の現実を斬ること、平等主義・全体主義的歴史観、国際法体制対華夷秩序体制の枠組みの欠如の5つが特徴であるとわかつた。 戦後間もない頃の歴史教科書では、日露戦争に防衛的観点があつたことや、大日本帝国憲法に天皇主権対国民主権の枠組みが持ち込まれてゐなかつたこともわかつた。 現代の教科書では未だに1950年代の研究の枠組みで大日本帝国憲法が叙述されてゐることもわかつた。由々しきことである。主権の対比表は削除されなければならない。 人間宣言や十五年戦争史観についての記述の変遷もあるとなほよかつた。

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