わたしを離さないで
カズオ・イシグロ/土屋政雄
早川書房
作品紹介、あらすじ
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていくー全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。
感想やレビュー
エミリ先生が最後弱っていたのは、自身も提供者だったから?だからずっと提供者の生育環境を整えようと奮闘してたのでは?キャスにいつまでも提供の話がこないのは、将来キャスが提供者を育てる立場にふさわしいと思われてるから?
カズオイシグロの文章能力に舌を巻いた。 自分の子ども時代を書いてくださいと言われても、ここまで丁寧に書ける人はいない。だからこそ、これが作者の想像、フィクションだなんて信じられないし、作家として本当に力のある人だと感じる。本物の作家ってこうなんだ。 臓器提供について考えるきっかけとなった。