サブマリン
伊坂 幸太郎
講談社
作品紹介、あらすじ
『チルドレン』から、12年。家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちと、罪と罰の物語。
感想やレビュー
交通事故という故意ではなく起きた悲劇が、連鎖しリンクしていく物語。 悲壮感が漂うはずのストーリーなのだけれど、登場人物の軽快なキャラクターのお陰で重苦しくならずに物語は進む。 少年犯罪の処分は基本的に更生の可能性にかけるというものだろう。 しかし、罪を犯した少年が後々更生して真っ直ぐ生きようとしたところで、奪われた命は戻ってこない。 また、真っ直ぐに生きようとしても、世間がすんなり受け入れてくれるとも限らない。 少年の前途は、はかりしれないほど険しく厳しいものになるに違いない。 それだけ取り返しのつかないことをしてしまったのだ。一つの事件に様々な背景があり。様々なその後がある。それら全てを納得させる償い方などないのかもしれない。 暗く重い話だからこそ、陣内さんぐらいの軽妙さで向き合いたい問題だ。
2022年11月26日