ホモ・デウス 下
ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田 裕之
河出書房新社
作品紹介、あらすじ
生物はただのアルゴリズムであり、コンピュータがあなたのすべてを把握する。生体工学と情報工学の発達によって、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊していく。人類はどこへ向かうのか?
感想やレビュー
科学革命を経て常に発展と成長が人類を幸せにするといった強固な信念のもと経験を第一とする人間至上主義が、自然の摂理や神の力のもと統制されていた世界を覆いはじめている。この変化に伴い生きる意味は神や自然の摂理が与える外圧的な意味付けではなく、個人の内からから発する内圧的な意味付けにシフトしている。昨今のテクノロジーの進歩により内圧的意味付けの根拠はコンピューター科学と生物学に委ねられ加速の一途を辿る。データ崇拝が蔓延する中でも知能は意識から分離していく。皮肉にも人はさも自分の人生を謳歌すべく振る舞うのだが、比較やデータに自身の感性をも委ね人生の意味付けさえ出来なくなりつつある。もはや生きている意味さえ見出だせなるのかも知れぬ。テクノロジーの恩恵を受ける一方で、我々はもう一度自分の人生の意味付け方を見直す必要がある。