旗師・冬狐堂二 狐闇
北森鴻
徳間書店
作品紹介、あらすじ
骨董の競り市で落札した二面の青銅鏡。そのうちの一面が、謎に満ちた三角縁神獣鏡にすり替えられていた。骨董商という立場を忘れ魔鏡に魅入られた陶子だったが、盗品だと分かり真の所有者に返すことに。しかし、彼女に魔の手が。絵画の贋作作りの疑いをかけられ、骨董業者の鑑札を剥奪されてしまう。狡猾な罠を仕掛けたのは誰?満身創痍で調査を進めると、歴史の闇が隠れていた…。手に汗握る古美術×歴史ミステリー。
感想やレビュー
北森鴻「旗師 冬狐堂 狐闇」読了。 旗師とは古美術を売買する者の呼称。 主人公は宇佐美陶子。 骨董の競り市で競り落とした青銅鏡。 その青銅鏡が盗品であったことから始まる 古美術にまつわる謎と歴史のミステリー。 なのだが、 ミステリーとはいうもののこの作品は、 主人公の宇佐美陶子が名探偵のように 謎をズバズバ解いていくわけではない。 仲間と一緒に罠に嵌められた敵を倒す感じに 近いかな。その仲間の1人に蓮杖那智(れんじょうなち)がいるのだが、 この人は別の作品の民俗学に絡む 謎を解き明かしていく主人公。 北森鴻さんはこっちのシリーズで読み始めて、 それから現在の冬狐堂シリーズを読み始めた。 蓮杖那智のシリーズにももちろん宇佐美陶子が 出演する。 北森鴻さんの作品はどうやら色んなシリーズの キャラクターが全てに絡んでいて 大きな作品の流れを作ってるようだ。 なんか全部読んでみたくなってきた。 さて、今回は冬狐堂シリーズの2作目。 毎回だが宇佐美陶子さんが満身創痍になりながら戦う。芯の強い人だからどんなに苦境に立たされても負けぬという安心感はある。 うん。今回も面白かったなあ。 やっぱり北森鴻さんは面白いわ。 この人がもうこの世にいないなんて信じられないな。もっとはやくこの人の本に出会いたかった。 さて次は「緋友禅」と「瑠璃の契り」 と、その前に蓮杖那智フィールドファイルの 双死神を読見返そうっと。この狐闇と話が重なってるみたいなので。
第二弾。那智シリーズの那智先生も出てきますし、那智シリーズ第一弾「凶笑面」の短編の1つともリンクしている部分もあり、那智側とこちらの主人公側の両面から物語を楽しめました。 今回は陥れられた主人公が敵に押されっぱなしで辛い状況が長くしんどかったし、ちょっと物語が壮大過ぎて、本来の騙し騙され、手に汗握るという醍醐味があまり感じられなかったかな、とは思いました。