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赤い月の香り

赤い月の香り

千早 茜

集英社

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作品紹介、あらすじ

天才調香師は、人の欲望を「香り」に変えるーー。 直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編! 「君からはいつも強い怒りの匂いがした」 カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていた。 朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。 香りを文学へと昇華させた、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマチックな長編小説。 【著者プロフィール】 千早 茜(ちはや・あかね) 1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作にて第37回泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。著書に、『男ともだち』『わるい食べもの』『神様の暇つぶし』『ひきなみ』など多数。

感想やレビュー

10/10読み終わり。面白いけど、切なーい。一香ちゃんは辞めていて、新しく満くんを雇う。けど、実はこの満くんは朔さんの幼少期に一緒にいた施設の子で、母親に虐待され母を刺していたことを記憶の奥に沈めている。けど朔さんが作った匂いで真実を思い出す。結ばれることはないけど朔さんも一香ちゃんもお互いを想っていて結ばれている。なんか切ないよー。

千早茜さんの文章はひんやりしていて、植物たちの温度や人物の感情の温度をそのまま伝えてくれる。一香が出てきて嬉しかった。朔さんとの距離はふたりだけのものだと思う。朝倉くんも抱えてるものがとても大きくてでも朔さんはちゃんと見抜いていて。茉莉花がきっとそばにいてくれるんだろうな。香水じゃなくて香り。香りそのものが記憶。

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