邪馬台
北森鴻/浅野里沙子
新潮社
作品紹介、あらすじ
明治時代に忽然と消失した村が残した奇妙な文書は、邪馬台国の真相へと至る秘録だった!異端の民俗学者・蓮丈那智の手に渡った「阿久仁村遺聞」。仲間たちとそこに隠された深い謎を追ってゆくうちに、数々のキーワードが浮かんできた。銅鏡、鬼、殺戮、たたら製鉄、出雲大社…。ミステリがすべて解かれたとき、現代まで秘められていた真の日本史が、あなたの眼前に現れる。
感想やレビュー
北森鴻 浅野里沙子「邪馬台」読了。 蓮杖那智フィールドファイルシリーズの4作目でシリーズファイナルである作品。というよりもこれ以後は読めなくなってしまったと言った方が良いのか。本作の3分の2ほど作者である北森鴻さんが亡くなってしまったからだ。残りの3分の1を公私共にパートナー(後書によると結婚の約束までしていたという)である浅野里沙子さんが、残されたプロットのメモを頼りにみて書き上げたという。 今作はタイトル通り邪馬台国の謎に民俗学の観点から迫るミステリー、というよりも北森鴻的邪馬台国考察といったほうが良い気がする。蓮杖那智曰く「邪馬台国は無かったのかもしれない」。その言葉の意味が解き明かされていく。なるほど、そういう考え方もあったのかと感心させられる。 あと、内藤三国の活躍の場がやっときたのも嬉しい限り。まあいつも後少しというとこで爪が甘く、合理性に欠けてしまうのところも可愛らしくもあったのだが。よかったよかった。 ああ、でももう蓮杖那智は会えないのか。蓮杖那智フィールドファイルシリーズとしてはやっと第一部が終わったと言った感じなのに。