東京タワー
江國 香織
新潮社
作品紹介、あらすじ
大学生の透は恋の極みにいた。年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時、世界はみちたりていた。恋はするものじゃなく、おちるものだ。透はそれを、詩史に教わった。一方、透の親友・耕二は、女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子に夢中だった。彼女との肉体関係に…。夫もいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の対極的な恋人たちが繰り広げる長篇恋愛小説。
感想やレビュー
芝に行くようになって、東京タワーが身近になったから自然に手が伸びた本だったんだけど、まさかの若い男と若くない人妻の不倫の話だった。 大学生の私だったら、詩史の大人な感じとか余裕に素敵と思ったかもしれないけど、今の私には恐怖でしかない。「一緒に暮らせないけど、一緒に生きてる」なんて言葉で透を縛って、覚悟のない女だと思った。浅野はきっと全然気付いているし、詩史も気付いていることを知っていて、それでも詩史は今の生活を手放さないとわかっているから泳がせているだけなんだと思う。 耕二の最後も怖かった。奪うまでがゲームでそこに愛はない。