イグアナの花園
上畠 菜緒
集英社
作品紹介、あらすじ
動物の言葉が分かる美苑は、植物学者で大学教授の父と、厳格な華道師範である母親と住む家の中庭やアトリエで、生き物たちの言葉に耳を傾けるのが日課だった。一方、学校では人付き合いが苦手で「空気が読めない」子として回りから距離を取られていた。ある日、目覚めると、前日まで元気だった父が急逝した事実を知らされる。そんな美苑に声を掛けたのは、父の同僚である児玉先生。大学の植物園で飼育されている子供のグリーンイグアナを育てないかと美苑に提案する。そして14年間、「ソノ」と名付けられたイグアナと共にアトリエで暮らし、充分満たされた生活を送っていたのだが、突然母から呼び出され、驚愕の通告を受ける。母の体に癌が見つかり余命は恐らく半年。その半年の間に結婚せよと言われ……。 【著者略歴】 上畠菜緒(うえはた・なお) 1993年、岡山県生まれ、岡山県在住。島根大学法文学部言語文化学科卒業。2019年「しゃもぬまの島」で第32回小説すばる新人賞を受賞。著書に『しゃもぬまの島』がある。