砂に埋もれる犬
桐野夏生
朝日新聞出版
作品紹介、あらすじ
小学校にも通わせてもらえず、日々の食事もままならない生活を送る優真。母親の亜紀は刹那的な欲望しか満たそうとせず、同棲相手の男に媚びてばかりだ。そんな最悪な環境のなか、優真が虐待を受けているのではないかと手を差し伸べるコンビニ店主が現れる。ネグレクトによって家族からの愛を受けぬまま思春期を迎えた少年の魂は、どこへ向かうのか。その乾いた心の在りようを物語に昇華させた傑作長編小説。
感想やレビュー
親や大人の思う気持ちと、子供が思う気持ちには大きな行き違いや、すれ違いがある。「誰も教えてくれなかった」ちゃんと教えないとだめだなと。気付けよって言うことはだめだな。
私も二人の息子を持つ身として読んで、ドキドキしてしまいました。わたしも一本間違えれば、環境が違えば、アキのような母になるんじゃないか、もう既にそういう一面もあるんじゃないかとか、怖くなりました…。 だからこそ、ユウマには幸せになって欲しかったのに、だんだんとユウマが歪んでいく様が描かれていて、読む手が止まらないのに読んでいて辛かったです。 アツトも結局どうなったかもわからずじまいで、目加田夫婦とこれからどうなるの…ってところで終わってしまったけれど「二度とナイフを持つことはなかった」ような記述があったので、よい親子関係を築いていてほしいなと…。