美しき愚かものたちのタブロー
原田 マハ
文藝春秋
作品紹介、あらすじ
「日本にほんものの美術館を創りたい」。その飽くなき夢を実現するため、絵を一心に買い集めた男がいたー。だが、戦争が始まり、ナチスによる略奪が行われ、コレクションは数奇な運命をたどることに。国立西洋美術館の礎であり、モネやゴッホなどの名品を抱く“松方コレクション”流転の歴史を描いた傑作長編。
感想やレビュー
「松方コレクション」を巡る松方、田代、そして日置の思い。その苦労は三者三様だが、行き着く先はひとつ。史実をもとにしたフィクションだけに、説得力十分。近代史の勉強にもなる。「バカヤロー解散」でおなじみの吉田茂がなかなかいい役どころになっているのもいい。そしてラストは感涙必至。
2
フィクションだが、史実と照らして読めば、やはりこのような政治家、企業家が今の日本にはいないことを痛感させられる。